フランス人に5円を
大学四年生の時にフランスへ行った。
フランスの旅は、祖母と行った為、始めてのツアーだった。
ツアーでは、バスの運転手と日本人ガイドがいて、何の心配もいらないことにビックリした。
また、行く場所もある程度決まっており、基本的に回る場所を制限時間まで自由に回るというスタイルだ。
このようなツアーを利用する人は、高齢者の方が多く、若くして参加しているのは私だけだったので非常に可愛がられた。
私は、バスの運転手のフランス人ルロワに話しかけた。
「バスの運転お疲れ様。」
そこから何故か仲良くなった。
僕のつたないフランス語で会話をするも、通じない場合は英語とジェスチャーで頑張って伝える。
ルロワは、ブルターニュ生まれのブルターニュ育ちだ。子供が2人いるらしい。
他のツアー旅行客は英語やフランス語が話せないのか、話す気がないのか日本人同士で集まっていたので、食事をする時は祖母とルロワと一緒であることが多かった。
フランスのパリは、若者で溢れ、犯罪が多くなっているなど、色んなことを話してくれた。
そんなルロワとも、時が経てば別れがくる。
彼はバスの運転手だから、別れ際に色んな人からチップをもらう。5ユーロ、10ユーロ、様々だ。
僕も5ユーロ渡したけど、ある食事の時に日本のお金を見せて欲しいと言われたことがあり、見せてあげた。
ルロワはバスの運転手を長年やっているが、日本のお金をみたこともなければ、日本に来たこともないそうだ。
穴の空いた5円玉を不思議そうに見ていた。
私は、日本の5円の説明をした。
「日本の5円は、幸運を意味し、縁起のいい硬貨なんだ。
あなたと会えたのも何かのご縁、ありがとう。」と伝え、5円玉を渡した。
そしたら、
「こんなお金を貰ったのは初めてだ。」と言われ凄く感動してた。
彼とはもう合うことはないだろうけど、彼と過ごした時間は忘れないだろうな。